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病院に行った話① 7/11

「Kさん、あれやるから用意して」

「えーあれですかぁ?」
K看護師が不満そうに言う

「こういう傷はあれするのが確実だよ、少々痛くても化膿させるよりいいだろ」

「はーい、分かりました、○○ちゃん、こっちにおいで」
あたしは、ドクターと看護師の不安を煽る会話を堪能して処置室にノコノコついて行く。

ここで〈あれ〉という治療について少し

ようは消毒処置なのであるが少々ハードな手法で
傷口に消毒綿を金属棒で押し込むのである。

動物の咬まれ傷というのは、口内に様々な細菌が巣食っているので化膿しやすい
下手すればリンパごとに腫らして入院なんてことにもなる。

表面は小さく奥に深い事の多い動物傷にはとても有効な手法なのだろうと思う。



hospital01_06.jpg



傷口を拭きながらK看護師が話しかけてくる

「私ね、あれするのあんまり好きじゃないんだよね」

「ん?」

「だってさ、すっごい痛そうじゃん」

「痛いのはあたしなんだし、いいじゃんよ」

「でも、抑えるのは私だし心が痛むのよねー」

「なんだそりゃ、まぁ、なんにせよ処置前の患者に聞かせる話じゃないんじゃね?」

「あら、そうだったわね、じゃ、大丈夫よ…だぶん」


これほど信用出来ない大丈夫は聞いたことねぇ。







                       ― つづく ―

病院に行った話① 6/11

「おーどうした?」

「やられてしまいました」

「診せてみろよ」

「こことここ、あとここも、3か所かな」

「でかい犬か?」

「レトリバーですよ、わりと本気でやられました」

「ん~けっこう深いな、咬まれてからどのくらい経った?」
「4~5時間くらいかな」

というような感じで意外に真面目な問診をする

「なにか処置したか」

「水で洗っただけ… … あ、あと接着剤で止血したわ」

隣にいるK看護師の顔が少し険しくなるが目を合わせないでおく。

「傷のわりに腫れてないな、痺れはないか?」

「今はもう無いです」

「首や肘は痛くないか?」

「大丈夫です」

「う~ん、お前だからこうなんだろうな、普通はもっと腫れるぞ」

「はぁ」

「咬まれ過ぎて抗体が出来てるんだろうな」

「はぁ」

「見てみろよKさん、こいつ結構な傷なのに咬まれた所しか腫れてないよ」

「あー本当ですね」

「おかしいだろ?」

「おかしいですね」

だんだん話の方向がおかしくなっている、あたしを変な生き物扱いするんじゃねぇ。


hospital01_07.jpg




                       ― つづく ―

病院に行った話① 5/11

「どーも、まいどでーす」

とても病院に来たとは思えない挨拶で受付に顔を出すと看護師のKさんと目が合った。

「あれ?○○ちゃん、またやられた?犬?猫?」
と聞いてくる。

あたしはそんなにいつも咬まれているのだろうか?

いや、確かに咬まれてはいるのだが病院送りになることは意外と少ないんじゃね?
と思ったりしながらも

「まーね、今日は犬だよ」
と左手を上げる、するとK看護師が

「あっ」
と小さく声を上げるので、視線の先を追うと
血止めに巻いたテープの下から血液が漏れて肘の辺りまで垂れてきている
車の運転で傷が緩んだのだろう。

「先にこっちで洗ってたらいいよ」
K看護師がそう言ってくれるので処置室の水道を使わせてもらう
傷口を洗いどこで拭こうか迷って幽霊化していると

「おーい、○○入りなよー」
と診察室から声が掛かる

「はーい」
大きな声で返事をして、診察室のカーテンをくぐると
大柄な男性が何故かアロハシャツを着て座っている

C先生である、ここ数年は白衣を着た姿を拝んでいない。


hospital01_05.jpg




                       ― つづく ―

病院に行った話① 4/11

その後、犬1・猫1の美容作業をなんとか2時間半で終らせることができた

ちょうどその頃には左手がいい感じに腫れて動かなくなっている
上手くできたものである。

さくっと道具を片づけると、左手に手袋を被せてお客が迎えにくるのを待つ
とても不自然な様相なのだが、咬んだ犬の飼い主に《おたくの犬に咬まれた》なんてバレたくない
何かとても恥ずかしい事のような気がしてしまうのです。


hospital01_04.jpg


咬まれ傷には不本意ながら慣れているので、このまま自然治癒させても良いのだが
この先数日のスケジュールを考えるとかなりタイトである、早く治すに越したことは無いだろう
時計を見るとまだ17:00前である。

というわけで、かかりつけの病院に向かって車を走らせる
ちなみにちゃんと人間の病院だ、あたしはあくまでもホモサピエンスである。

左手が逝ってる状態でMT車を運転するのはなかなか骨が折れるのだがそこは気合でカバー
何とか20分で病院にたどり着くのに成功した。




                       ― つづく ―

病院に行った話① 3/11

 
水を拭き、テーピングテープで止血処理をしながらこの先の予定を考える

経験上左手が腫れて動かなくなるまで3~4時間だろう
それまでに咬んだレトリバーを含めて3頭の美容作業を終わらせないといけない

時間的にはギリギリである、どうやらのんびりしてはいられないらしい。

幸いレトリバーはもう乾かしきるだけだ
口をふん縛ったまま作業を進める

何となく何をどうすればキレるのか分かってきているので地雷を踏まないように
慌てず急いで正確に作業を進め30分ほどで仕上げきる。

とっとと次の犬に取り掛かろうと思うのだが
早くも傷口に巻いたテープの端から血が滲み出てきている

出血するのはかまわないのだが、お客の犬に血が付くのは非常に困る
とはいえあまりガチガチに固めると作業にならない

そこで工具箱からゼリータイプの瞬間接着剤を取り出して傷口の上にフタをするように塗りかぶせる
これは揮発している間は大変痛いのだが割と良い血止めにはなるのである。


hospital01_003.jpg




                       ― つづく ―
プロフィール

sanchz

Author:sanchz
職業動物家

現在
「パンプキンファーム」オーナー

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