治療代を払い終わり、先生にお礼を言う。
「明日、出来ればもう一度診せに来い、大丈夫とは思うけどな」「は~い」(たぶん来ないな)、と思いながら返事をする。
「明日、来ない気じゃないでしょうね?」K看護師にちくりとやられる、はいその通りですとは言えない
「あ、ああ、いえ来ますよ、たぶん…おそらく…きっと」とゴニョゴニョ返事をしてその場からそろりと退出する。
車に乗ってエンジンを掛けながらグローブ大の左手を見る…
この手でMT車を運転しろと?

こんなに固められるとシフトレバーもクソもあったもんじゃない
どうしようかと迷っていると電話が鳴る。
「もしもし…」お客さんからである、どうやら今から犬を迎えに行くことになりそうだ
車内でゴソゴソしながら話を伺う。
「では、今から向かいます、よろしくお願いしまーす」と電話を切って車を発進、これくらいならOKだと思いながらギアをシフトアップする
助手席には一巻残して引き千切った切った包帯がラットスネークの様にトグロを巻く。
だって、お客さんに心配させるわけにはいかないじゃん?
K看護師にはナイショだよ。
病院に行った話①
― おわり ―