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撮影の話② 8/13

さて、翌日である

昼前くらいに展示場へ到着する、まずは荷室のネコを確認するが車酔いで吐いてる奴はいない
無理矢理バスケットに詰め込んだので機嫌は悪そうだが問題はないだろう。

「おはようございま~す」

モデルルームに入り邪魔にならないように居場所を確保
リビングでは黙々と撮影準備が行われているがこの時点であたしがやる事は何もない
隅っこでおとなしくしていよう。

あたしが空気と化しているとどこからともなく監督さんが現れる

「おはようさ~ん」

「おはようございます、今日はよろしくお願いします」

「ああ、よろしく」
挨拶をかわすと

「ネコはこれかい?」
布を掛けてあるバスケットを指さす

「そうです」

「見てもいい?」

「いいですよ」

パサッっと布を取ってあげる

「おお、可愛いな」
顔を近づけて、さらに

「ニャー」
と言いながら隙間から指を入れている、ネコも迷惑そうだ

(うぉい、あんたは仕事があるだろよ!)
って、ハタきそうになるが止めておく、さすがにシャレにならないだろう


satsuei02_08.jpg





                 ― つづく ―

撮影の話② 7/13

その後、コーヒーを飲みながらの雑談タイムになり、監督さんが動物がらみの話を聞かせてくれる。

「俺がさぁ、京都の撮影所で時代物の仕事をしてた時にな
ネコが要るっていうからスタッフが知り合いから借りてきたのよ」

「そしたらAD血祭りにして逃げちゃってさ、もうどこ行っちゃったか分かんないのさ
あそこは敷地も広いしな」

「素人さんから借りてきたネコだし俺らも探したんだけど5~6日しても見つからないんだ
どうしよっかなぁ~って困ってたら、セットの長屋にフラフラしているネコがいるのよ」

「あれだ!って思ってその場にあった小道具で置いてあったザルをかぶせて捕まえちゃったよ
ありゃ~そうとう腹ぁ減ってたんだな、かっかっかっ」


と、まぁこんな調子だ


satsuei02_07a.jpg



「今回は君がいるから逃げちまうってことはないだろうけどな」

「いや~わかりませんよ、現場はパニックになる要因がそろっていますので」

「飼い主が居てもか?」

「まぁ、あたしは大して好かれてもないでしょうから」

「 … …  」


その後、しばらく雑談をして現場を後にした、さぁ帰ってネコを洗わなきゃ。


satsuei02_07b.jpg



                      ― つづく ―

撮影の話② 6/13

監督さんは黙って考えている、制作さんが

「無理に白を使わなくても柄のあるので撮ればいいでしょう、ね、監督」と、じれたように話を切り上げようとする

「そうだな…まぁ、普通にしていてくれればいいからなぁ」

普通…この普通というのが問題である、人間でも普通の演技は難しいと言われているのに
動物が撮影現場という特殊環境で普通に振る舞う事がどれほど困難な事か…

「その普通は簡単じゃないですよ、動物はラジコンじゃないですから」

あれ?思わず少し強い口調になってしまった
前の現場でこの事(普通)についてひと悶着あったからだろうか?

監督さんがこちらに顔を向ける、いつの間にか現場スタッフの視線が集まり
制作さんが逃げたそうな顔をしている

(まずいかな~)っと思うが言ってしまったものは仕方ない、開き直って監督さんに視線を合わせる


「あははは、わーってるよ」
監督さんが笑い出す

「お前さんの言うように動物は予測出来ねえからな、俺も長くやってるから動物では苦労してるんだ」



satsuei02_06.jpg



少し考えてから続けて

「そうだな、まずは白黒とキジトラの2匹でやってみよう、テストからカメラ回して出たとこ勝負で何本か
それで使える絵が撮れるだろう、出すタイミングは君に任せるさ
そのあと時間があったら白いネコも試してみよう、こんな感じでどうだい?」


文句のないプランだ、どうやらあたしは勘違いをしていたらしい

この監督さんはかなり動物を撮った経験があるのだ、動物の撮影はカメラを回せる所は全部回す
思った絵じゃなくても取りあえず使える絵を撮る、そんな感じでやらないとなかなか上手くいかない

あたしは勝手に予防線を張っていたようだ。

「はい、それでお願いします」

そう言って頭を下げる





                ― つづく ―

撮影の話② 5/13

「そうですね…色気の事は別にして、白黒と茶トラはそこそこ動けるのではないかと思います
キジトラは固まって動かなくなる可能性が高いですからワク内で止まっていた方が良いなら
これもいいかもしれません」


制作側の(その辺でやめてくれ)というプレッシャーが強くなるが
監督さんが聞いてくれているのでそのまま続ける


satsuei02_05a.jpg


「ただ、人と絡むということになると、この白いネコが面白そうなんです…」

「う~ん、白か…」

「そうなんですよね、白はハレーションが気になるのであまり押せないのですけど…」


白というのは強い光が当たるとハレーション(輪郭がボケて浮いて見える)
を起こしやすいので撮影では使いにくいのが分かっているのだが

この白い中毛のネコは身内だろうが他人だろうが人間が怖いってことがない
初対面で誰に対してでも甘えられる変わった奴である。

迷い仔猫だったのを保護して育てたのだが、あたしは神様からの贈り物だと思っている(もちろん神様は信じてない)

 白色ゆえに使いどころがなかったのだが、どうしても一度使ってみたい。

「室内ですし、何とかなりませんかね?」

「 … … 」



satsuei02_05b.jpg



               ― つづく ―

撮影の話② 4/13

監督さんと制作さんが

「この色はどーの…こーの…」
と色気の話をしている
あたしは色柄よりもどんな撮影になるのか?の方が気になるのだが、ここは黙って聞いている

しかし色の話だけで打ち合わせを終わってしまいそうな感じなので、こちらから話しかけてみることにした


satsuei02_04.jpg



「明日、ネコは全員つれてきますよ、ところでどんな感じで撮りますか?」

「ん?どんな感じとは?」

「そうですね、人と絡みがあると伺っていますがどんな風にです?」

「ああ、役者と同じ部屋にいる、って感じだから無理に絡まないでもいいんだよ、最悪ワク内にいてくれるだけでいい」

「なるほど…何秒くらいほしいですか?」

「3秒…5秒はいらないだろうな」

「この現場だとカメラ位置はこの辺ですよね?じゃあ、あの棚の裏にウチの人間が隠れることは出来ますか?」

「う~ん、ライトの影が出なければいけるんじゃないかな」


この辺から監督さんの反応が変わってくる
この若い奴はただネコを連れて来る素人の飼い主ではないのだと再認識したのかもしれない

それと同時に制作スタッフ側の(余計な事いって監督の機嫌をそこねるなよ) 的な空気も感じるが
あたしも聞く事は聞かないと仕事にならないので遠慮はしない

「音も撮りますか?出さないほうがいいです?」

「一応、同時に撮るよ、でも少しくらいはどうにかするから出しても大丈夫だよ」

「… …」

少し間をおいてから話を続ける





                     ― つづく ―

プロフィール

sanchz

Author:sanchz
職業動物家

現在
「パンプキンファーム」オーナー

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