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羊飼いになった話① 5/10

羊エリアに着くと芝生の丘陵に木造の雨避けが設けられており、何枠か丸太で柵が組まれている
そしてその周辺一帯にサフォーク種とコリデール種が混合で数十頭いるのが見える。

雨避けの下には低いステージがあり、スタッフがパタパタとショーの準備をしている。
当然ステージに近いかぶりつきに陣取り待っていると、ちらほらと他のお客さんも集まってきた

10数組も集まっただろうか?ステージに白人男性と助手らしい日本人女性が現れた
どうやら始まるらしい。

白人男性が自己紹介をする。

どうやら彼はニュージーランド人で来日して3年で独身(どーでもいい情報だ)らしいのだが
たどたどしい日本語と流暢な英語なので断片的にしか聞き取れない。

続けて、ニュージーランドでは人口よりも羊の方が多いと言われているが正しくはない
多いどころか12倍は羊がいる、と言って笑いを取っている。

そして、今日は3人の友達を紹介したいとおもむろにポケットに手を入れると笛を取り出し
「ピィーウィー」
と吹き鳴らす

すると丘の向こうから黒い塊が3つ現れてこちらに向かってスッ飛んで来た
黒い塊はステージに上がると等間隔で座って息を切らしている。

白人男性(名前を忘れたのでボブ(仮名)と呼ぶことにする)

ボブが犬の紹介をしてくれる

「コチガ○○~○○○…デース、○○ハ○デ○○~ダヨ」
アシスタントが少し訳してくれるが、わかるのは一部の単語だけである

どちらにせよ他人の犬の名は覚えられん、心の中で、白黒、ほぼ黒、真っ黒と勝手に名前を付ける。

見たところオーストラリアン・キャトル・ドックの雑種だろうか?
現地の実用犬はこんなタイプなのかもしれない。

まずはボブが犬笛を使って犬を動かして見せてくれる
よく動いてはいるのだが、犬が先走りしている、毎日同じことをしているせいもあるだろう
牧羊犬の系は総じてこういう傾向がある、頭が良過ぎるのだ。


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                     ― つづく ―

羊飼いになった話① 4/10

そんなことをしていると、若いハスキーがこちらを見ている。

近づこうとすれば逃げ、離れようとするとついてきて一定の距離を保とうとするので
じぃ~っと目を合わせてからフッっと逃げて座ってやると、釣られるようにスッっとついてきて距離が埋まる

彼らは本能的に逃げる者は追いかけたくなるものだ、あいさつ代わりに匂いを嗅がせてやり
ガッっと両手を地面に遊びに誘ってやると、一呼吸置いて、嬉しそうに反復横跳びを始める
誘いに乗ってきたようだ

そのまま走るフリをすると、勝手に場内をぐるぐる廻って暴走し始めた
すると他の犬も訳も分からず走りだして運動会を始める
ホモサピエンスのあたしにはよく分からんが楽しそうではある。

そうこうしてると大きい犬チームエリアにもお客が集まって賑やかになってきた

「そろそろでようか」
という事になり出口に足を向け歩いていると、突然

「ウォゥ」
とフェンスに向かって走り出し大騒ぎを始めた

(何だよ?)とその先を見ると、運営スタッフがドックフードを台車に載せて運んでいる
(ああ、なるほど)と思うが、他のお客は意味が分からないといった顔でポカンとしている。

フェンスに上って張り付いている奴を指さして

「見てみ、干された毛皮みたいだ」
と笑いながら犬達とバイバイした。


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その後、池のほとりの売店でアイスを買う、この牧場の牛の乳が原料だそうな
あたしがアイスのコーンを池の鯉にやっていると、ペンポンパンポ~ンっと場内放送が流れてきた

放送によるとどうやら牧羊犬のショーがあるらしい
相方さんにせかされ、コーンの残りをパ~クパ~クしている鯉の口に押し込むと
指定の羊エリアに向かって歩き出した。


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                      ― つづく ―

羊飼いになった話① 3/10

ビーグルをつついたり引っ張ったりして遊んでいると、他の犬たちもわらわらと集まってきた
犬が集まってくるとお客の子供も集まってきて、あたしの周りがハーレムみたいになる

大人が一人、子供に混ざって遊んでいると、相方さんが

「お~い」
と半笑いでこちらを指さしている
後ろを振り返るとあたしの背中に向かって先ほどのビーグルがオシッコを引っかけようとしていた、

「おいっ」
と、上げた足を掴んでタマキンの裏に必殺の地獄突きをくれてやると、

「ぐふぅ」
と言って飛びのいて逃げるが、それでもこちらを向いてヘラヘラしている
やはり頭の中にはヒマワリがはいっているのかもしれない。


ふと頭を上げるとあることに気付く、大きい犬のエリアには一人もお客が入ってないのだ
それもそうだと思う

イベントとはいえども、ハスキー・レトリバー・セッター・ クラスの犬が放たれているのだ
入っていくには少し怖いかもしれない。

「あっちに入ってみよう」
相方さんを連れて(引きずって)大きい犬エリアに入ると
よほど退屈していたのか、レトリバー2匹が突撃してきた

彼らの諸手突きを受け止めると足を払って転がしてやる
(オメーらがそんなんだから怖がられんだよ)とチョークスリーパーを極めてやると
尻尾を振って喜んでいる…

でかいだけで中身はぬるい犬なのである。



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                       ― つづく ―

羊飼いになった話① 2/10

さて、犬イベントである

遊びに来たといってもあたしもイベントを企画・運営する人間だ
良い悪いは別にして、あそこはどーのとか、ここはどーのとか、色々気になる所は沢山あるのだが
ここはあえて無視をする、仕事目線で余所様の企画を見ていては疲れてしまう。

イベント会場に入ると中では個室で展示されている犬達と放されている犬達がいる
放たれている犬達の方は大きな柵がで2つに仕切られて
小さい犬チームと大きい犬チームに分かれている。

個室の犬を一通り見物したあと、小さい犬チームのエリアに入ってみた
ここは他のお客も多くいてそれなりに賑わっている。

こういうところで犬を寄せるにはどうするか?
簡単な方法は取りあえずしゃがんでみることだ

犬は(犬だけではないが)自分より目線が高いものは苦手であり
追いかけて来るものからは逃げたくなる生き物である

黙ってしゃがんでいるだけで案外簡単に寄ってくるのだ。

しばらくするとビーグルがヒョコヒョコとやってきた
頭の中にヒマワリが咲いているような顔をしている。

鼻を寄せてくるのでまずは手の匂いを嗅がせてやる
よくいきなり頭を撫でようとする人がいるが、あれは犬にとって結構怖い行動である。

ちょっと考えてみて欲しい

自分より遥か高いとこ、もしくは見えないとこから巨大な動物の一部が降ってくるのだ
人間にしてみればいきなりキリンに髪をむしられるようなものだろうか…?



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                       ― つづく ―


羊飼いになった話① 1/10

あたしは動物屋ですが、他所の動物施設に行くのが好きです。
別に勉強するとか参考にしたいとかではなくて、ただ単に遊びに行きたいわけです。

そこで少し困るのが [素人のフリをするのは難しい] ということ
知っているのに知らない、出来るのに出来ない、というのが意外に演じられない

まぁ、現在ではずーずーしくなったのでそんなに気を使わないのですが


ではでは、羊飼いになった話①



本日はお休み、動物屋だってたまには休むのです。

そこで市内から車を2時間走らせて、とある観光牧場まで相方さんとやってきた
ここはヒツジや牛など色々な動物がいる広い施設だ。

せっかくの休みに、また動物か?と思うかもしれないが、よその動物は別腹である
たまには他人の動物で無責任に遊びたいのです。

それに今は期間限定で犬のイベントも開催されている
ようは1つぶで2度おいしい場所になっているというわけで。

広い駐車場に車を止めていそいそと入場口に向かうが、相方さんを置き去りにして最初から怒られる
アイスクリームを買う約束をして機嫌をとり、ゲートをくぐると
緑の匂いに混ざって草食獣のフンの香りが漂ってくる、わりと好きな匂いである。

まずは犬のイベントに行こうということになり、天幕で囲われたイベントスペースに向かう
途中の禽舎でクジャクの♂に勝負を挑まれたので、上着を広げて応戦してたら

「恥ずかしいからやめてくれ」
と引きずっていかれる、まだ勝負はついていないのに…

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                   ― つづく ―

プロフィール

sanchz

Author:sanchz
職業動物家

現在
「パンプキンファーム」オーナー

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