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病院に行った話① 11/11

治療代を払い終わり、先生にお礼を言う。

「明日、出来ればもう一度診せに来い、大丈夫とは思うけどな」

「は~い」
(たぶん来ないな)、と思いながら返事をする。

「明日、来ない気じゃないでしょうね?」
K看護師にちくりとやられる、はいその通りですとは言えない

「あ、ああ、いえ来ますよ、たぶん…おそらく…きっと」
とゴニョゴニョ返事をしてその場からそろりと退出する。

車に乗ってエンジンを掛けながらグローブ大の左手を見る…
この手でMT車を運転しろと?


hospital01_11b.jpg



こんなに固められるとシフトレバーもクソもあったもんじゃない
どうしようかと迷っていると電話が鳴る。

「もしもし…」
お客さんからである、どうやら今から犬を迎えに行くことになりそうだ

車内でゴソゴソしながら話を伺う。

「では、今から向かいます、よろしくお願いしまーす」

と電話を切って車を発進、これくらいならOKだと思いながらギアをシフトアップする

助手席には一巻残して引き千切った切った包帯がラットスネークの様にトグロを巻く。

だって、お客さんに心配させるわけにはいかないじゃん?
K看護師にはナイショだよ。


hospital01_11.jpg


                       

                       病院に行った話①
                        ― おわり ―
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病院に行った話① 10/11

(ロウソクみたいだなぁ)

傷口からウニョ~と伸びたガーゼを見ながらぼんやり思う。
K看護師に

「これに火を点けたらあたしクリスマスケーキみたいじゃね?」

「 … … 」

冷たい目で見られる
さらに包帯を巻きながら少し考えると

「ケーキと言うより爆弾じゃないの?発火しやすそうだし」
とのことである。

何だかんだ話しながら包帯を巻き終えると
左手が8オンスのボクシンググローブを付けたかの様に巨大化している

hospital01_10.jpg


「何これ?巻き過ぎじゃない?」
とクレームをつけると

「何言ってんの?これくらい頑丈にしておかないと傷口に余計な事して悪化させる患者がいるでしょ、誰かさんみたいに」
怖い顔になる。

なるほど…数年前、ネコに咬まれて化膿した箇所から膿を出そうと
自分で切開して失敗し、かえって悪化させて怒られた事がある
その時の事を言っているのだろう、ここは黙って目を合わせないでいるとする。




                       ― つづく ―

病院に行った話① 9/11

「ぐぅ」

予想はしていたとはいえこれは流石に痛い
出来立ての生傷をグリグリ掘られているのだから当たり前ではある。

歯を食いしばるため奥歯がキリキリする、何か噛むとはこの事だったのか。

それにしてもグリグリが長い、いいかげん下半身がモジモジしてくる
それを見ていたK看護師が声を上げる

「あー痛い痛い、先生それは痛いですよー」
(あんたは見物人か)

「ん?大丈夫、こいつは肋骨折られても平気な顔してる奴だよ」
(いや、平気じゃないし、そもそも何年前の話だ)

「あーなるほど」
(あんたはそれで納得するのか?)


hospital01_09.jpg


そんなやりとりをしているうちにガーゼを残して金属棒が引き抜かれる
痛みが消え、身体の力が抜け、正直ホッとする、こめかみに汗が流れるのを感じて

「ふぃ~」
と、吐息が漏れる。
しかし、ホッとしたのもつかの間、

「じゃ、次にいこうか」
C先生の一言で、あと2つ傷がある事を思いだして気が遠くなる。

仕方がない、覚悟を決めて治療を受けようと気合を入れ直し、K看護師に声を掛ける。

「ねぇ、そこのタオルちょうだい」
もちろんねじり鉢巻きにする為である。




                       ― つづく ―

病院に行った話① 8/11


「はいはい、またせたね~」
C先生が外来の診察を終えて処置室に入ってきた

「じゃ、やろうか」
と、いきなりバッファリンの1/1000分の優しさも感じられない手つきで、あたしの左手を掴む。

K看護師が黄色い溶液に浸したガーゼを取り出す、アクリノール系だろうか?

「Kさん、それは大きいよ、傷に入らないよ」

「え~そうですか、大きい方が早く治りそうじゃないですか?」
(いや、そういうもんじゃねーだろ)

K看護師がしぶしぶガーゼを1/3にカットする
C先生がカットしたガーゼを受け取り、傷の上に乗せ

「何か噛むか?」
と聞いてきた

「え?別にいいですよ」
(噛むって何?)と思いながら答える、C先生は

「うむ」
と頷くとおもむろにガーゼごと金属棒を押し込んだ

hospital01_08.jpg




                       ― つづく ―

病院に行った話① 7/11

「Kさん、あれやるから用意して」

「えーあれですかぁ?」
K看護師が不満そうに言う

「こういう傷はあれするのが確実だよ、少々痛くても化膿させるよりいいだろ」

「はーい、分かりました、○○ちゃん、こっちにおいで」
あたしは、ドクターと看護師の不安を煽る会話を堪能して処置室にノコノコついて行く。

ここで〈あれ〉という治療について少し

ようは消毒処置なのであるが少々ハードな手法で
傷口に消毒綿を金属棒で押し込むのである。

動物の咬まれ傷というのは、口内に様々な細菌が巣食っているので化膿しやすい
下手すればリンパごとに腫らして入院なんてことにもなる。

表面は小さく奥に深い事の多い動物傷にはとても有効な手法なのだろうと思う。



hospital01_06.jpg



傷口を拭きながらK看護師が話しかけてくる

「私ね、あれするのあんまり好きじゃないんだよね」

「ん?」

「だってさ、すっごい痛そうじゃん」

「痛いのはあたしなんだし、いいじゃんよ」

「でも、抑えるのは私だし心が痛むのよねー」

「なんだそりゃ、まぁ、なんにせよ処置前の患者に聞かせる話じゃないんじゃね?」

「あら、そうだったわね、じゃ、大丈夫よ…だぶん」


これほど信用出来ない大丈夫は聞いたことねぇ。







                       ― つづく ―
プロフィール

sanchz

Author:sanchz
職業動物家

現在
「パンプキンファーム」オーナー

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